それを問題と考えることの注意点(メモ)
ゼミでの出来事
ゼミの紹介
毎週、素粒子物理のゼミを行っています。
輪講形式で一冊の本を読むというもの。
今読み進めているのは、渡邊靖志 著『素粒子物理入門』(培風館)。
この本の冒頭にも述べられているように、あまり数式を使わずに素粒子の世界を紹介
している本だが、群論、ゲージ不変性などなど、数学力が足りてないためか読み進める
のに苦労しました。
なんとか読み進め、今日12章まで行きました。そのときの先生のお話。
それって本当に“問題点”?
11章では、それまで紹介してきた理論のまとめとして、標準理論について述べられて
いました。(ふ~ん、よく分からないまま来たけど、重力を除く3つの力は統一的に扱え
るんだなぁ)など思いながら、最後の小見出しが『11-2 標準理論の限界』。
そこでは、標準理論に対する6つの不満点が挙がっていました。
ふと気になって、「今解決している問題ってこの中にあるんですか?」と質問したと
きの先生の回答がとても印象的でした。それはだいたいこんな内容です。
「ありません。それで、昔ケプラーと言う人がいて、天体について考えていた人です
が。正多面体はいくつもあるわけではありません。これら正多面体に接するような円軌
道を描いたとき、それが太陽のまわりを回る惑星の軌道を表しているんじゃないかと考
えたわけです。でも、今考えればこれは問題設定自体が間違っているわけで。他にも、
水星の近日点移動を”未知の物体X”の存在を仮定していろいろ計算した人がいたのです
が、これも設定自体が違っているわけです。要は、問題っていうその問題設定自体が間
違えているということもあるわけで...」 (結構うろ覚えです...)
続く12章では、標準理論を越える大統一理論の紹介。高エネルギー域を考えていけば
重力を理論に取り込めるかもしれないが、エネルギーのスケールがでかすぎて実験が難
しい。けれどもまあ、いろいろ仮定していって綺麗な理論が作れるなぁという章だと思
いましたが。11章で挙がった疑問点への回答も出せていて。
そして『12-1-5 階層性の問題』で、また問題点が挙げられるわけです。「24~30桁の
項が打ち消し合わなければならないが、これは大変不自然(階層性の問題)」のような表記
があり、それを解決するためにテクニカラー理論と超対称性理論があると。それによる
と超粒子が発見されるはずだが、加速器実験で見つかった主なものは「ヒッグス粒子」の
みだったわけで...
この「不自然である」と考えて、新しい仮定をして計算を進める...というのは、問題設
定があっているのか。これは水星の近日点移動を未知の惑星Xの仮定で説明することと
同じなのではないかという疑問が起こります。
でも、当時の人には、それが本当に正しい問題設定なのか分からないわけですよね。
未知の惑星Xの計算、無駄だよ。なんて、あとになって、あぁ一般相対性理論で説明で
きるのかってなってからいえるんだってことですよね。これを聞いて、すごく怖い気持
ちにもなったのですが。
このことは常に意識したいと思い、メモメモ。
その問題設定は、設定自体が間違っていないか?