物理学を、ぶつぶつと

読んだ本の解釈や、日々感じた事をそれとなく

大学院試験とか

はじめに

現在(2019/09/15)、私は物理科の大学4年生で光物性研究室に所属しています。光はとてもオモシロイと、光に魅了された私はまるで街灯に群がる蛾か何か、しばらくは離れられそうにありません。ちなみに蛾とか飛ぶ系の虫はダイキライです。

2019年9月10日に合格発表がありまして、東京大学大学院物理学専攻A2サブコースに合格しました。区切りが良いので、ここら辺で一度今年の振り返りをしてみようという心持ちです。

今年に入ってから、選択を迫られる瞬間が次から次へとやって来るようになった気がします。いかに今までの自分がぽけぇっと生きていたことか。
もちろん、人間は日々、様々な選択をしながら生きているものですが、普段はそんなこと意識もしていないわけです。少なくとも私は。もしかして、私だけ?
しかし、意識して行う選択のなんとストレスの溜まること。常にネプリーグのトロッコアドベンチャーをやっているような、選択につぐ選択。この場をお借りして、これまでの選択の答え合わせでもできたらいいなぁと、まあ答えはないんですが。

理論 vs 実験

私はスーパーマンではないので、なんでもはできません。本当はランダウみたいに広く深い知見が欲しいですが、凡人には到達できそうもありません。そうとなれば、自分の物理の方向性をある程度しぼる必要がでてきます。ここで、一番最初に行う方向性の選択が「理論分野か実験分野か」ではないでしょうか。
昨年は理論系の研究室に所属していた私ですが、今年は実験系に移りました。いろいろ考えたけども何を考えていたか忘れました。ただ、きっかけは量子光学の精密測定でした。これはミリョク的スギル!
今のところこの選択に後悔はないですが、まあまだ後悔するほどやってないので、これからですね。

大学院決定まで

やりたいことが自分の大学じゃできなかったので、外部受験の準備をし始めたのが5月のお話。研究室訪問した大学は、東京工業大学東北大学京都大学東京大学の4つ。6月中旬頃に見学を終えたのですが、もう出願まで間近。早く決めなければ。

私をひどく悩ませたのが、東北大学東京大学の試験日がかぶっていることでした。どちらに進んでも同じ研究ができる(ここら辺の事情はめんどくさいので略)とのことで、違いは修士1年目を東京で過ごすか仙台で過ごすかくらいなものらしく、それがまた自分を悩ませました。いっそ、どっちかに大きな利点があるとか言われればそちらに向けて頑張るのに、というか試験日かぶらなければよかったのに…(あれ、わざとかぶらせているという話もありますね。)

そうこうしているうちに7月頭、出願期間が来まして、どうにも決心がつかず、最終的にはコイントスで決めました。表がでたら東京大学。裏は東北大学。そしてトスの結果は表。次の日には書類を揃えて、東京大学に出願しました。(こんな決め方をしたと、教授に知られたら怒られそうだ。)あと、京都大学にも出願しました。なんとなく、というのは嘘ですが、ローレンツ祭とか見て、良いなと思っていたので。

研究室訪問のお願いメールとか、書くのにめちゃくちゃ時間かかってしまいますね。たぶん自分は神経質すぎますね、あらゆることに関して。
あと、北は仙台、西は京都まであちこち行っていたわけですが、道行く人の楽しそうなのを見ると、自分はそんな物理なんてやって、何になるんだろうなぁとか思いましたね。そもそも、3年間も大学で物理やってきてなお物理がやりたいとか、異常ですよね。そんな物理にこだわらなくったって、企業に就職してそこそこお金もらって、縁があれば結婚して、そんな生活でいいじゃないかとか、正直思いましたね。なんで物理なんかやっているんだろうとか。大学院に言って物理がしたいというのはワガママだなあと思います。ボクはバンドマンになる!とギターを日々鳴らすのと変わらないですね、ハハハ。まあ、もういろいろとしょうがないですね、これが自分なので、ハハハ。

試験勉強

受験する大学が決まったので本格的に試験勉強を始めました。とにかく過去問を解きました。京都大学とか東京大学はかなり昔の過去問までネットにあがっているのでありがたい。
東京大学は平成14年度、京都大学は平成21年度まで解きました。解答は、これまたネットにあがっているものを参考にしました。探せば出てくると思います。一人でひたすら解いて、答え合わせをしていきました。情報社会バンザイ。
本当は院試ゼミとかできたらよかったですね。特に自分は、しゃべりながらいろいろ分かってくるタイプなので。飽きも来ます。
あと、院試は情報の少なさがとにかく怖いですね、とくに自分のような外部受験者は、ボーダーも分からず、模試もないので。とにかくいろんな人に聞いて、情報とか集めたいですね。精神の安定のためにも。

試験勉強とかしてると、その日の機嫌はその日の問題の○、×に左右されるもので、夏真っ盛り、気分の浮き沈みは海に浮かべた浮き輪のように、夏祭り、花火の音とかが窓から聞こえてくると、自分はいったいなにやってるn(以下略)
...という精神状態になる人もいるらしいですね。夏にはいろいろ気をつけましょう。

そんなこんなで

試験本番がやってきました。東京大学京都大学なので、移動がハードでした。あと、バイトで貯めたお金が消えました。
結果は、無事どちらとも合格でした。面接の内容とかは、だいたいネットにあがってる通りだったので、落ち着いてできました。コツは、とにかく服を着ることですかね。ちなみにスーツ着ていきました。

来年からは東京で生活することになるわけですが、あそこで生活できる自信はないです。2日いると具合が悪くなります。まあ、住めば都か。

振り返ってみると、ここまで運が良かったなぁと思います。解ける問題が出てくれたこともそうですが、親切な人たちに恵まれました。いろいろと相談にのってもらった研究室に無事入ることができたのはとても嬉しいです。これだけ行く先々親切な人ばかりだと、世の中は親切な人で溢れかえっているんじゃないかと思えてきますが、渡る世間は鬼ばかりらしいので、自分はきっと恵まれているのでしょう。ありがたい。我ながら、良い選択をしてきたな。
物理の道を選んだのもある人の影響。ここまで物理を嫌いにならず来れたのも、良い教授陣に恵まれてるからですね。
さて、次はどんな人との出会いが待っているのか、ワクワクです。
ようやく、勉強じゃなくて研究が始まるんだなという感じがします。研究を、レッツエンジョイ!

最後に

いったいこの記事は誰向けなのか、分かりませんね。あえて言えば自分向け。
これから大学院に受験する人にはなんのアドバイスにもなっていないかもしれないですが、最後に1つ。
大学4年生は様々な研究分野を知るのに良い時期だったと思います。


それでは、この辺で。

3記事坊主

約1年ぶりの投稿

ブログを始めて3つ記事を書いたら飽きて、そうこうしているうちにブログの存在すら忘れて1年ほどたちまして、ふとブログのことを思い出して、久しぶりに何か書こうと思い立ったわけであります。

三日坊主ならず、3記事坊主。私は昔から飽き性。どうせまた3つほど記事を書いたら飽きるので、この3つのテーマは大事に選ぼうと思っている次第。

約1年前の記事を見ると、自分はこんなことをやっていたのかと、良い振り返りにもなる気がしています。あの頃は素粒子理論研究室にプレ配属して、ファインマンダイアグラムの計算等にひぃひぃ言っていましたが、4年生になってからは研究室を変えました。

現在は光物性研究室に所属しています。なんか光っていいですよね。物理のターニングポイントにだいたい光が登場している気がしますし、とてもミリョク的です。

空気から水に光が入射すると、屈折とかします。それは光の速度が遅くなるからだとか言われるわけですが、そういうのを、ローレンツモデルによる位相ずれや2次波の干渉を考えると分かった感じになるのはやっぱりオモシロイです。

気になる人はお父さんとかに聞いてみるといいと思います。当初は、物理で何か分かった気がすることをまとめて自分が分かりやすくブログで解説してやろう!とか思っていましたが、調べればなんでも出てくる時代にわざわざ自分が駄文を投入して、ますます情報で溢れさせるのもなぁと思っていますが、やる気がでたらそういうこともしたい。

さて、最近大学院試験があり、無事合格しました。その間いろいろと感じた事があるので、それについて後日書きたいと思っています。院試験に合格するための~とかは調べれば散々でてくるので、そういう内容ではないものになると良いですね。

キーボードの『D』が簡単に取れてしまいます。3年間と半年、指の打撃に耐え続けた『D』も、そろそろ限界が近い模様。卒業論文が書き終わるまでは頑張ってほしいです。

それでは、この辺で。

ランダウ=リフシッツ『力学』第一章

 気づいたこと等メモしていきます。

 

§3.ガリレイの相対性原理

慣性系とは

 「空間が一様かつ等方的であり、時間も一様であるというような基準系をつねに見いだすことができるということが分かる。このような系を慣性系という。」(本文引用)

 

 “空間が一様等方”とは、どの位置も特別な位置がなく、どの方向も特別な方向のないような空間。空間はどこかで終わることのなく無限に広がっていて、どこかに穴が開いていたり障壁など一切ない、真っ平らな感じの空間...なんとなく分かりそうでイメージのしにくい感じですが、こんなふうに考えてみます。

 

 自分が神の目線に立ったとして、まっさらな無限に広がる3次元の白いキャンパスに絵を描いていこう。このスタート地点が最もシンプルな系で、この白いキャンパスのような空間が慣性系というようなイメージを持ちました。

 これから先のお話は、この白いキャンパスにどんな絵を描いていきますか。というよな考えで捉えてみます。

 

 無限に広がる白いキャンパスに人を一人描きましょう。この観測者=基準系で、慣性系というキャンパスに描かれた人は慣性基準系という時間と空間のモノサシを持ちます。

 次に、質点を一つ描きましょう。この質点は動いていても止まっていても良いです。

 

 さて、今までは神の目線でのお話でしたが、ここで描いた人の目線に移りましょう。

 この人とって、自分が動いているか止まっているかなんて分からない。質点が本当に止まっているか動いているかは神のみぞ知り、判定ができない。分かるのはただ、お互いがどれだけの速さで動いているかという”自分と質点の相対速度の絶対値のみ”です。

 ということは、この人の記述するラグランジアンは相対速度の絶対値のみの関数となるわけです。

 

 神の目線に戻ると、慣性系に人(基準系)はいくらでもかけます。

 描かれた人にはそれぞれの質点の見え方があるでしょう。しかし、誰が記述しても、質点の運動を記述する方程式は同じ形になるはずです。

 

 このように、白いキャンパスに置かれたどの人間に対しても力学的法則は同一になるでしょう。という考えがガリレイの相対性原理とイメージできます。

 AさんとBさんが質点の位置を記すとき、AさんとBさんの記述が式(3.3)で結ばれています。これと式(3.4)をあわせて、ガリレイ変換と呼んでいます。

 当然、ガリレイ変換のもとで運動方程式の形は同じになるはずです。

 

 この原理を用いて、慣性系に置かれた人からみたラグランジアンを定式化していくのが§4のお話。

 

それを問題と考えることの注意点(メモ)

ゼミでの出来事

 

ゼミの紹介

 毎週、素粒子物理のゼミを行っています。

 輪講形式で一冊の本を読むというもの。

 

 今読み進めているのは、渡邊靖志 著『素粒子物理入門』(培風館)。

 

 この本の冒頭にも述べられているように、あまり数式を使わずに素粒子の世界を紹介

している本だが、群論、ゲージ不変性などなど、数学力が足りてないためか読み進める

のに苦労しました。

 

 なんとか読み進め、今日12章まで行きました。そのときの先生のお話。

 

それって本当に“問題点”?

 11章では、それまで紹介してきた理論のまとめとして、標準理論について述べられて

いました。(ふ~ん、よく分からないまま来たけど、重力を除く3つの力は統一的に扱え

るんだなぁ)など思いながら、最後の小見出しが『11-2 標準理論の限界』。

 

 そこでは、標準理論に対する6つの不満点が挙がっていました。

 

 ふと気になって、「今解決している問題ってこの中にあるんですか?」と質問したと

きの先生の回答がとても印象的でした。それはだいたいこんな内容です。

 

 「ありません。それで、昔ケプラーと言う人がいて、天体について考えていた人です

が。正多面体はいくつもあるわけではありません。これら正多面体に接するような円軌

道を描いたとき、それが太陽のまわりを回る惑星の軌道を表しているんじゃないかと考

えたわけです。でも、今考えればこれは問題設定自体が間違っているわけで。他にも、

水星の近日点移動を”未知の物体X”の存在を仮定していろいろ計算した人がいたのです

が、これも設定自体が違っているわけです。要は、問題っていうその問題設定自体が間

違えているということもあるわけで...」 (結構うろ覚えです...)

 

 続く12章では、標準理論を越える大統一理論の紹介。高エネルギー域を考えていけば

重力を理論に取り込めるかもしれないが、エネルギーのスケールがでかすぎて実験が難

しい。けれどもまあ、いろいろ仮定していって綺麗な理論が作れるなぁという章だと思

いましたが。11章で挙がった疑問点への回答も出せていて。

 

 そして『12-1-5 階層性の問題』で、また問題点が挙げられるわけです。「24~30桁の

項が打ち消し合わなければならないが、これは大変不自然(階層性の問題)」のような表記

があり、それを解決するためにテクニカラー理論と超対称性理論があると。それによる

と超粒子が発見されるはずだが、加速器実験で見つかった主なものは「ヒッグス粒子」の

みだったわけで...

 

 この「不自然である」と考えて、新しい仮定をして計算を進める...というのは、問題設

定があっているのか。これは水星の近日点移動を未知の惑星Xの仮定で説明することと

同じなのではないかという疑問が起こります。

 

 でも、当時の人には、それが本当に正しい問題設定なのか分からないわけですよね。

未知の惑星Xの計算、無駄だよ。なんて、あとになって、あぁ一般相対性理論で説明で

きるのかってなってからいえるんだってことですよね。これを聞いて、すごく怖い気持

ちにもなったのですが。

 

このことは常に意識したいと思い、メモメモ。

 

 その問題設定は、設定自体が間違っていないか?

緊張の初投稿

自己紹介

 初めまして。

 大学3年生で物理学科に所属しているたろーといいます。

 素粒子分野に興味を示し始めています。

 

きっかけ

 高校時代、物理を学ぶことに感動がありました。月の運動を数式で記述でき、それが

地上のリンゴの運動となんら変わりがないこと、力学のあらゆる公式がニュートンの運

動方程式から導出されることにとても感動して、物理学科へ進むことを決めました。

 けれども、大学では使われる数学が難しく、乱雑に感じるものも多く、高校時代の感

動は大学物理にはないと思っていました。

 

 

 ある日、学校の本棚でなんとなく目に付いたランダウ=リフシッツの『力学』を手に

取りました。

 文字を流し読みしているうちに、鳥肌がたっていました。

 そこには、高校時代の感動があったように思います。

 

 しかし、解釈がやはり難しいし、それが正しいかも分かりません。

 

 そこで、読んで思ったこと、解釈したことを発信してとにかく人の目にさらそうと考

えて、ブログの設営に至りました。

 

内容

 主にランダウ=リフシッツの本を読んだ解釈や、日常の授業で疑問に思ったことや留

めておきたいことをメモ代わりに書いていく予定です。

 

そんなわけで、よろしくお願いします。